写真は千葉県東金市の法光寺の墓地の奥にあるがけに掘られた「上田中坑道陣地」です。 太平洋戦争当時、米軍が東金街道を東京に北上するのを阻止するために作られたそうです。しかし、この坑道は赤土を掘っただけで、爆弾一つ落ちれば簡単に破壊されてしまうほどやわなものです。ここを堀った兵士や動員されて人たちは何を思ったのでありましょう。 この日は千葉県総合運動場で陸上の千葉県選手権がありました。その帰りに、せっかく千葉市の方まで来たのだからと東金に足を伸ばしたものであります。そして法光寺の庫裏に立ち寄っても誰もいなかったのであきらめようとしたところ、墓守に来ていた初老の男性が、この寺の総代を知っているということで連絡を取ってくれたり、それがだめだと立ち会ってくれたりして、坑道を見学することができました。 「大きな声を出しちゃだめだよ。崩れるかもしれないからね。」 私は入り口で男性が見守る中、静かに歩を進め、懐中電灯の明かりが届かなくなった辺りで引き返すことにしました。久しぶりの緊張感を味わいました。 今月の題名は「巴弛月(はちがつ)」です。もちろん造語です。 「巴」とは湧き出した水がうずを巻いて外へめぐるような形のことを言い、トモエの算盤で有名になりました。この形を模した瓦は防火のまじないと言われています。 また、「弛」はゆるむという意味があります。この暑い夏に緩んでばかりいないで心頭滅却する努力をし、弛まない生活を送ることが大切と言えましょう。 上田中坑道に入った時の神経の尖り具合、ある意味命がかかっていることの緊張感は暑さを忘れさせてくれるものでした。物事を周囲の責任にせず、自分を変化させることの大切さを思い出させてくれたことに感謝したいと思います。 |
思至月 巴弛月 垢月 |