5月を向かえ、日によっては暑く感じる日も出てまいりました。5月のことを五月(さつき)と読んだり、皐月(さつき)と読んだりするそうですが、歴史的には五月の方が古いのだそうです。元々この月は田植をする月であることから「早苗月(さなへつき)」と言っていたのが短かくなって「さつき」と呼ぶようになったようです。
 写真は東京都千代田区にある交通博物館を万世橋から見たものです。これから夕刻を迎えようとしているのですが、太陽も心なしか疲れたように見えます。その太陽をバックに、そこにいるのが当たり前だった交通博物館も疲れたように見えるのは、今年の5月14日でその歴史を閉じなくてはならないせいでしょうか。電車好きだったゆきたんくが小学校低学年の頃から母に手を引かれて何度も足を運んだ交通博物館。この度の閉館に伴い、東京駅が出来る前に謳歌を極めた「万世橋駅」の遺構が63年ぶりに公開されました。もっとも、遺構は建物の中なのでここから見ることはできませんでしたが、予約が取れたので見学後に「旅たんく」でアップしようと思っています。
 この写真の上に走っているのはJR中央線ですが、その電車の窓や、交通博物館の屋上から、草がぼうぼう生えた万世橋駅のホームが見えます。緑の割合は少ないですが、ホームに新たに生えた草たちも交通博物館とともに生きてきました。閉館後はどのように使われるのかは分かりませんが、願うことならば取り壊しだけは避けて欲しいなぁと思っています。もちろん遺構を残すのにはお金がかかるのでしょうけれど、お金で買えない思い出をここからたくさんもらった人たちもいるのです。
 中央線に乗り、ここを通る時にホームを見るだけでも、早苗月の時にはここの緑を見るだけでも…。それだけでもここを知る思い入れの深い者にとっては慰めになるのです。
4月     早苗月      6月