師走
 12月になった。

 高校の先輩とのお泊り会が熱海で開かれた。

 熱海といえば温泉である。

 この温泉にありがたみを感じるようになったのはつい最近である。

 以前は温泉に入っている時間を勿体ないと感じたものだ。

 それだけの時間があれば、いろいろなものを見て回れるではないか。

 そんな風に思っていた。

 しかし、体が欲するとはこのことだろう。

 熱海駅近くの坂道を登って、登って、登って着いた宿で最初にやったことは温泉につかることだった。

 夕飯前の温泉である。

 以前だったら街中散策でうまい店はないかとか、おもしろいものはないかだとか・・・

 そして、以前だったら卓球を好んだものだった。

 その卓球台の置いてあった部屋には、マッサージチェアがあった。

 どちらを選んだかは、もうお分かりだろう。
雪待ち月 12月 1月