長閑(のどか)        葉桜            6月 ベゴニア 
 いよいよ5月を迎えました。5月の季語に葉桜というのがありますが、これは葉だけの桜のことを言うのではないのだそうです。
 なるほど、桜というのは花の時期以外は、緑のいでたちでありますが、その期間は随分と長い。その期間を葉桜と呼んでいるのでしょうか。
 と思って調べるてみると

 葉桜と呼ぶ時期は、満開の頃淡い薄紅色一色であった桜が、花びらが散り始め、同時に若葉が芽吹き始めて新緑の葉の色が混ざり、遠目にくすんで見える頃から、桜の花びらが全て落花し、めしべ・おしべが残って樹木全体に赤みが残っている頃まで、あるいは、樹木全体が新緑の葉で瑞々しく艶を帯びた状態で覆われる頃までである。それ以降の時期で単に葉が茂っている状態の桜を葉桜と呼ぶことはない。

 のだそうです。随分と条件が揃わなければならない訳ですが、葉桜という命名があった頃の人たちは、桜のことだけではなく、様々な物事を細かく捉えていたことを伺うことができます。
 花が咲いて周囲がピンクに染まる時だけでなく、いつの時でも鋭い観察眼を持ちながらも、心魅かれものに素直に反応する本来の心の在り方を持ちたいものです。

 写真は千葉県の旧東葛飾郡沼南町(現柏市)の「今井」