左の看板を見たことがある人はたくさんいると思う。
言わずと知れたお米の「パールライス」の看板である。
 ここで話をしたいのは次男のつっくんのことである。
どこの家でもそうだと聞くが、長男はおっとりとしていて、次男はとっぽいという。
 うちもご多分にはもれないのである。
 つっくんはなんと生後二ヶ月で寝返りを打った奴なのである。
 まだ二ヶ月だということで、ベッドの柵も立てずに隣の部屋で女房とお茶を飲んでいた時だ。つっくんの情けない泣き声が聞こえてきたのである。いつもと様子が違うが夢でも見ているのだろうとほうっておいたが、いっこうに泣き止まないので行ってみるとベッドから下半身がぶら下がっていたのである。なんと寝返りをうっていたのだ。赤ん坊は頭が重いから落ちなかったのだ。もしも落ちていたら今つっくんはこの世にいないであろう。
 さて話を戻すが、長男を叱る時にはすぐ観念しておとなしくなるが、つっくんは「こっちへ来なさい。」というと第一声は決まって「やだ〜!」なのである。そこで考えたのが、第三者に助けを求めることである。昨今ではナグハゲなるものが世間を賑わせているが、そのころはそんなものは無かった。よってどうしたか。つっくんが悪いことをしていると「パールライスが来るぞ〜!」と言うことにした。女房は「何それ。」と小ばかにしていたがこれが功を奏したのである。「パールライスが来るぞ〜!」というと「ごめんなさい、もうしません。」「助けて〜」と涙を流しながら助けを求めたり反省したりするのである。これは5歳半まで効果があった。現在、この時のことをつっくんは覚えていない。