ゆきたんく

 ようやく着いた頂上である。

ゆきたんくのジーパンはドロドロ、上半身は汗でずぶ濡れ、体から湯気が出ている状態である。 
 同行した者は気づかなかったが、おあつらえ向きに墓があるではないか。

それは板碑である。
青色塔婆とも呼ばれる秩父さんの緑泥片岩を加工して作った武蔵型板碑である。
ゆきたんくは地蔵岳の土となってしまうのか・・・
 しばらく休憩を取ると、体力が復活してきたゆきたんくである。

周囲を見渡す余裕が出てきた。
大沼(おの) が凍っている。
このような陽気で山の雪が解け残る訳だわと思いながら、様々な石塔に目を奪われる。

そして休憩時間は終わったのであった。