ところがである。毎年中国から長崎の方へ空の旅をする黄砂が今年は多かったようだ。なんとも、今年は北海道まで黄砂が飛んだという話ではないか。私たちが乗った飛行機はその黄砂が吹きすさぶ風の強い所を通過したのである。(もっともこれは帰国後に知ったことであるが…)
飛行機で一番危険といわれる離陸から安定飛行に入り、シートベルトもはずし、機内のドリンクサービスが始まった直後である。丁度、九州上空であろうか。
飛行機が突然揺れだしたのである。それもドリンクサービスのコーラが横揺れによりバシャバシャこぼれるほどの揺れである。ドリンクサービスは中止、機長(英語)とスチュワーデス(日本語と中国語)のアナウンスで「ただいま気流が大変に乱れております。シートベルトを着用願います。」
しばらくして今度は縦揺れが始まったのである。隣にいた飛行機慣れをしている女房も「これは、あんまりだ。」とつぶやく。気の小さい私の頭の中に昭和60年の事故のことが思い出される。「ダッチロール」、「フゴイド(縦ゆれ)」…。女房が追い討ちをかけるように「コックピットで何か分かっても絶対に乗客には言わないからね。」スチュワーデスさんの脇の電話が何回も鳴る。非常事態発生なのだろうか。
そして香港までの飛行機の旅4時間あまりの中で最後の1時間だけゆったりと飛んだ。食事のサービスも最後の方で出てきた。なんとフォークとナイフがプラスチック製である。これはテロ防止のためということであった。脳裏にWTCテロの事件が思い起こされる。さすがに食事の味は味は分からなかった。
何はともあれ、香港国際空港に無事着陸した時は長男が無事生まれた時のような安堵感を味わっていた。 |