食盗(しょくとう)ってなんぞや?酒盗ならばお目にしたことがあると思います。
酒盗(しゅとう)というのは塩辛のことだそうで、この肴があると酒を盗んでも飲みたくなるということで酒盗というだそうで…。
じゃあ食盗とはなんぞや? これは食当(しょくとう)の当て字で、食事当番のことなんですね。寮生活でございますから、食事当番なんぞが生活の仕事の中にあるんです。しかし、部活なんぞにはまっておりますとそれを忘れている場合があります。「あっ、やべぇ今日は食当だった。」なんて感じでございますね。そのうち食当という単語が別の意味で使われたりするのでございます。これを隠語と言いますね。
部活動の試合なんぞで学校の外に出ることがあります。高等学校ですから、平日の試合なんてのもある訳ですな。そうすると帰りが遅くなる。「夕飯はとっておいてね。」と出かけるのですな。
しかし、電車の本数も少ない線の、駅から歩いて15分なんて学校ですから、試合が終わってから寮に帰るまでお腹がもつ訳が無い。外食をしてくるんですな。とってある「夕飯」は食堂の前部にあるケースの中にうやうやしく置いてあるんですね。ほっておけば、次の日の朝までそのまんまなんですな。
時は学習時間(笑)
「なぜ、笑う?」と思われる方は、こぼれ話の「楽丸(落雁…らくがん)」をお読み下さいませ。
若者はいつでも腹が減っているんですね。机の引出しを開けて、「あっラーメンねぇや」、「うん、アラビアン焼きそばがねぇや」とやっているわけですよ。
誰ともなく、「おい、食盗(しょくとう)いくべ。」
「あっ、今日はかつカレーだからラッキーじゃん。」
「今日はサッカー部が試合だから20くらいはあるんじゃねえか。」
「食盗?、今舎監が回ってるぞ。」
「じゃぁ、俺らの部屋に回ってきたら、いくべ」
時は学習時間、こんな風に頭を使っているんですな。
「おい、いくか?、みんな、タッパぁ持ったな」(笑)このタッパはタッパラーメンとは違う、小さ目のタッパである。
いざ、食堂へ・・・。
寮のなるべく暗いところを選んで食堂へ。
そしてケースの戸を静かに開け、「おぉ、まだ9皿残っているぅ」(笑)
先客がいたんですね(爆)
10皿は空になっているんですね。
かつカレーの上下が逆転しないようにタッパに移し、蓋をして部屋に戻る時のスリル。この時にかつカレーが逆転するとタッパにカレーが着き、洗うのが大変面倒になるのですよ。
時は学習時間、頭を使っているんですな。
このままでは冷たい。どうするか。
舎監室横から汲んできた熱々のお湯をタッパやきそば用の大きめのタッパに入れる。
食盗で手に入れたブツの入ったタッパをそのタッパに入れる。
今回はふとんには入れない。カレーの匂いがついてしまうからである。
タッパをじっと見つめること6分29秒?
中のカレーがじんわりと溶けだしたころに、これまた食堂から拝借したスプーンで食すのである。
「うう、うんま〜いぃぃぃぃぃぃ。」
ああっ、タッパを温めたお湯は捨てないこと。そのお湯でタッパを洗うのですからね。
よく考えたら、こりゃあ犯罪だったんですな。くわばらくわばら…。
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