ハンマーを遠くに飛ばすためには回転半径が大切なことは前に述べた。回転半径が大きいほど、同じ速さで回転してもハンマーヘッドのスピードが増すのだ。写真はおーちゃんの練習風景である。ハンマーヘッドと胸椎(背骨の胸部分)を結んだ部分が回転半径にあたる部分である。写真にカーソールを当てていただきたい。赤線が回転軸青線が回転半径に当たる。  
 ハンマーは通常2回のスイングから3回転、または4回転のターンを経て投射されるのだが、その回転中の半径はスイングが終了した時点でほぼ決定されているのだ。下の連続写真はスイングの2回目からターンに入るところである。赤い線はスイング中の回転の軸を表している。1から3でハンマーは右前方から左後方へ180度、4から6が右後方から前方へ移動しているところである。
5から6にかけて赤の軸が矢印の方向へ移動しているのが分かるであろう。元々軸のあったのは青線の部分である。この体を後ろへ移動することを室伏重信氏は「倒れこみ」と表現している。この「倒れこみ」は後ろによりかかるという自然な動作でできる。また胸椎とハンマーとの間に張りが生まれ、回転半径を最大にすることができると同時に体の前をハンマーが通過する時に加速しやすいのだそうだ。
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 写真の1も6も肩の余分な力が抜けている。これは腕ではなく胸椎で支えているからできるフォームである。これにより、肩も自然に前に出るのである。 ここまでできるようになるためにはさまざまなバリエーションのスイング練習をしなくてはならない。しかしハンマーの飛距離に大きな影響がある「回転半径」の獲得のしかたを頭においてスイング練習をしたほうが効果的と考え、最初にもってきた。
上写真の元になった
動画も見ていただくと「倒れこみ」がわかりやすいと思う。